欠伸をしつつ何か食べる物でも物色しようと上に上がってみると、先程部屋を後にしたばかりのメルが困惑した表情で窓の外を見つめていた。
「どうした?帰ったんじゃなかったのか?」
後ろから声を掛けるとロベリアに見つかってしまったのが恥ずかしいのか居たたまれないのか頬を染めてメルが言った。
「そのつもりだったんですけど思いの外雨が強くて帰りそびれてしまったんです…」
俯きながら言ったメルの頭をロベリアがくしゃと撫でる。
「馬鹿。だったら戻って来りゃ良かったじゃないか」
「ロベリアさんがお休みになってたら申し訳ないと思ったので…」
苦笑したメルに口角を上げロベリアが言う。
「あんたのキスでならいつでも起きるぜ?メル」
耳にキスをして放ったその言葉に忽ちに赤面して俯くメル。
「あ、あの…」
「くくっ、ホントに可愛いな。あんたは」
肩を揺らして笑ったロベリアにメルが言う。
「冗談だったんですか?!」
「いや?本気だ」
「それも、冗談ですよね?」
すっかり困惑した表情のメルを見つめるロベリアの表情も柔らかい。
耳まで紅くしながら振り回されまいと抵抗するメルの顔を覗き込んで唇を重ね、離れ際に唇を舐めると髪を撫でるロベリア。
「本気だよ?アンタの事は全部」
声に優しさと甘さを乗せてそう囁いたロベリアに、メルの体温が一気に上がる。
頬を両手に当て羞恥から来る動揺を落ち着かせようとするメル。
そのメルを後ろから抱き竦めると、窓の外の空模様を見てロベリアが言う。
「これは一日中雨だろう。明日までアタシの部屋でゆっくりしていけばいい。…アタシにあんたをもっとくれよ」
メルはその言葉に半ば熱に浮かされた様に小さく頷いた。