「あのなぁ…」
「何?」
「好き嫌いは止めろっつったろ?」
源二の皿にしれっと苦手な食べ物を入れる源三郎に源二が言った。
「兄さんが大きくなれる様に入れてあげてるんだよ。むしろ、お礼を言われたいね」
肩を竦めて反省の色もない源三郎。
「いいんだよ。オレは牛乳飲んでるし。体動かしてるし!」
「涙ぐましい努力だねぇ」
わざと大袈裟に言ってニヤニヤ笑う源三郎にカチンと来たのか立ち上がる源二。
「何?食事中に行儀悪いよ」
源三郎の腰をガシッと掴むと頭を振って。
「好き嫌いばかりしてるからオマエこんなに細いんだよ。そのうち倒れちまうからなっ」
「!余計なお世話だよ」
その唐突な行動に何故か赤面して言い返す源三郎。
「何赤くなってんだよ?」
「赤くなってない!兄さんの所為でゆっくり食事も摂れなかった!ご馳走様」
源二から顔を隠す様に席を立つ源三郎。
(信じられない!急に触るとか信じられない!)
何事かと首を傾げる源二とは対照的に動揺を見せたのだった。