「…そういえばすみれ君。お返し何が良い?」
唐突にそう切り出した大神にすみれが首を傾げる。
「お返し、ですの?」
「うん。もうすぐホワイトデーだから」
そう言われて「ああ…」と頷くすみれ。
「忘れてたのかい?」
「そういう訳ではないのですが…」
言葉を濁したすみれの顔を覗き込む大神。
「忘れてた訳じゃないけど…何だい?」
「…先生にチョコレートをお渡し出来ただけで胸が一杯になってしまったのでお返しまでは…」
言葉にしたところで一気に恥ずかしさがこみ上げてきたのか赤面するすみれ。
そんなすみれを見つめながら微笑む大神。
「それじゃ、尚更お返しをちゃんとしないとね?」
「でも、すぐには思いつきませんわ…」
困惑した表情のすみれの手を取りキスを落とす。
「そう?すみれ君の言うことを何でも聞くよ?」
「本当ですか?」
「勿論」
「では、その日はずっとそばに居て下さいますか?」
恥じらいを滲ませてそう言ったすみれに目を細めて大神が返す。
「…逆に離さないかもね」