新昴。

 「どうぞ」
 「ああ」
 新次郎からテイクアウトのコーヒーを受け取ると、それで少し暖を取るように両手で包む昴。
 「大分、寒さが緩んできたとはいえ夜はまだ冷えますね」
 昴の隣に座りながら新次郎が言った。
 「まだ当分はこの調子だろう」
 穏やかな表情で昴が言う。
 まるでそれを望んでいるかの様だ。
 「昴さんは寒い方が良いんですか?」
 首を傾げた新次郎を見つめた後、空を見上げる昴。
 「…ああ。空気が冷たい方が空が澄んでいるからね。星がよく見える」
 言われて同じ様に空を見上げる新次郎。
 「わぁ!本当ですね!」
 一面の星空に目を輝かせている新次郎に笑みを湛えると、昴はそっと寄り添った。

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