会うなり後ろから抱き竦められて鼻先を首筋に付けられた。
「マリアさん、そろそろ皆さんの所にも参りませんと…」
苦笑しながらすみれが言った。
「何故?久し振りにあなたに会えたのよ?」
皆の前では毅然と花組の隊長を務めているマリアも恋人の前ではこんな風に我が儘な振る舞いを見せるらしい。
すみれから思わず笑みが零れる。
「何か可笑しかったかしら?」
そんなすみれにマリアが問う。
「何でもありませんわ」
「そう?」
首を傾げた後、すみれの首筋に唇を寄せて唇で甘噛みするマリア。
「…っ…マリアさんっ、ですからこれから」
その刺激にすみれの背筋が少し伸びる。
「勿論、解ってるわ…」
「だから、少しだけ」
全く何処まで我が儘なのだろう。
ため息を吐くすみれ。
そして、とても愛おしい。
「仕方のないマリアさんですこと」
許せるのも自分だけだ。
「…あなたもね、すみれ」
「私もですの?」
「ええ。だって、私を甘やかすでしょう?」
そう不敵に笑うとマリアはすみれの鎖骨を指でなぞった。