まじまじとすみれの顔を見つめたかと思えば一気に間合いを詰めて唐突にその唇を奪うグリシーヌ。
離れ際にすみれの唇をなぞるように舌で舐めると不敵に笑って、言う。
「ほぅ、驚かぬのか?」
そう指摘されて漸く現実に戻されたのかハッとなって一気に赤面するすみれ。
「な、な、な、なななななな!」
「ふっ、その様な事はなかったか」
「あた、当たり前ですっ。何をなさいますのっ?!」
クスと笑ったグリシーヌをすみれが非難する。
「ん?キスは初めてであったか?」
「そ、そういう事ではございませんっ…」
どうにも話の通じそうにないグリシーヌに頬を染めながらも眉をひそめるすみれ。
「では?」
すみれの顎に指を伸ばして目を細めるグリシーヌ。
「な、何故、私にキスなど」
「そなたの唇を喰らいたくなったからだが?」
「は?」
すみれからしてみれば不可解なグリシーヌの行動だ。
それでは全く答えになっていない。
「簡単な話であろう?そなたを欲しくなったのだ、すみれ」
そう再び顔を近付けた─。