「はい」
頬を染めかえでがマリアに包みを差し出せば。
「ありがとうございます。これは私からです」
マリアもかえでにチョコの入った包みを渡す。
「…ありがとう」
嬉しそうにそれを受け取ると微笑むかえで。
そのかえでを見つめながらマリアが言う。
「折角ですからお互いのチョコを味見しませんか?」
口角を上げて言ったマリアに首を傾げるかえで。
徐に包みを開けてチョコを一つ取り出すと自分の口に咥えてかえでに口づけるマリア。
「…っ…」
マリアの舌を通してチョコの甘さがかえでの腔内に広がる。
その甘さが広がった処で唇を離すとマリアが言った。
「ありがとうございます。美味しかったです」
「私があげた方はどうでしょうね?」
そうかえでの手元にある包みに視線を向ける。
「そ、そうね」
躊躇いがちに包みを開けてチョコを一つ取り出すと、先程のマリアに倣って自分の口に咥えて赤面しながらマリアを引き寄せる様に唇を重ねるかえで。
チョコをマリアの口に送るようにそっと舌を絡める。
「……っ…」
甘い吐息を交わして深くなる口づけにいつの間にか夢中になってようやく唇を離した頃には目眩さえ覚えて。
「どうですか?私からのチョコは美味しかったですか?」
囁く様にそう問うと潤んだ目で恥ずかしそうにかえでが頷いた。
(…口移しに限る。確かにロベリアの言う通りかもしれないわね)