マリアから受け取った節分の小道具らしいその袋の中をチラと見た後、物言いたげに昴を見つめるサジータ。
「…昴にそれを着ろとでも?」
サジータの視線に分かっていたとでも言わんばかりに口角を上げて昴が言う。
「あ、ああ。ダメか?」
「君の方が似合うんじゃないか?何せ君は惑ってばかりだ」
「そうだけど、さ…」
「節分というのは邪気払いの意もあるんだ。僕が君のそういう迂闊さを払う方が良いと思うが?」
シニカルに笑いながらそう言った昴に苦笑しつつも、サジータが昴のネクタイに手を掛けつつ返す。
「うん。でも、今日はアンタに尽くしたい気分なんだ」
「このところの失態の詫びかい?」
昴のその指摘に少し間を置いた後、サジータが言う。
「最初はそう思ってたけど、何かそういうのとか関係なくアンタに触りたいんだ」
「僕は触られるのは─」
「好きじゃないって解ってるよ。でも、アタシだけは許されるとも思ってる」
笑みさえ浮かべて言ったサジータに昴の頬が微かに紅く染まる。
「大した自信だな。…だが、君の触れ方次第で最近の君の失態を許してやろう」
「本当か?!」
「…触れ方次第だと言っただろう?」
そう言うと昴はサジータを誘うようにベッドに座り、袋の中身を取り出した─。