昴サジ。観覧車にて。杜一さんのSSと連作です。

 不意に観覧車の隣のゴンドラのロベリアと目が合った。
 僕を挑発する様に口角を上げるとグリシーヌの唇を奪うロベリア。
 その挑発に乗る訳ではないが、このごく狭い密室でサジータと二人きりだというこの状況を楽しまない手はない。
 地上に広がる色とりどりの光を見つめ、はしゃぐサジータを見つめる。
 「あのインチキ眼鏡スーツもなかなかやるな!」
 目を輝かせてそう言ったサジータの正面に座り込み下から顔を見上げてみる。
 「…折角の夜景を楽しもうじゃないか」
 「…昴?」
 サジータのスーツのボタンを外し、シャツの裾を捲し上げる。
 「お、おい。…っ…」
 脇腹を指で撫でた後、舐めると甘く啼いた。
 「ぐ、グリちゃん達に見られるって…っ」
 「生憎と他のゴンドラは角度的に見えない。嘘だと思うなら外を見てみるんだな」
 僕の言葉に前後のゴンドラを確かめるサジータ。
 「ホントだな。屋根と底しか見えないみたいだ」
 「それに一周回りきるのに後十数分以上はある。僕には夜景より君の方が興味深い」
 そう目を細めるとサジータの表情が期待に満ちて変わる。
 …全く、単純な奴だ。
 だが、其処が可愛いじゃないか。
 「…で、でも、時間短くないか?」
 「勿論、君を焦らすだけで終わるだろうね」
 「焦らされるのは嫌だ」
 「…本当に嫌なのかい?」
 拗ねた様に言ったサジータにそう聞き返すと、頬を染めて。
 「…後でしてくれるなら」
 そう小声で言うとサジータは両手で顔を隠した。
 本当に僕の意のままだよ、君は。
 そして、僕を酷く煽ってくれる。
 「…どれだけ焦らせたら君が僕を求めるのか楽しみにしよう」
 「焦らされなくてもアタシはいつだってアンタを求めてるさ」
 熱を帯びたその声に僕の指に熱が伝染った。

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