※botや140SSのグリサジグリと花サジが元です。
基本的にはLSM設定。
要は攻めグリと黒花火でサジータを弄ろう企画(笑)
ある夜の酒の席のこと。
紐育、ハーレム地区にあるサジータの事務所兼自宅でそれは行われていた。
グリシーヌと花火とサジータという異色の三人だったけれど、事務所の応接セットのソファで向かい合い、三人で酒を酌み交わしつつ和やかな時間を過ごしていた。
─だが、それはこれから始まるサジータの受難のきっかけに過ぎなかった。
グリシーヌの保護者でもある花火も居る事で、すっかり安心しきっていたのだ。
「サジータ、私はそなたの素直さを羨ましく思っている」
ワインを飲み干しながらそう言ったグリシーヌの目が少々据わり始めている事に気付いたのは花火だった。
(まぁ、グリシーヌったら。もう酔ってしまったのね)
気付いたものの花火はあえてそれを止める事はしなかった。
酔いが回った時にグリシーヌがどうなるか判っていたし、それはグリシーヌの本能的なものなのか解らないけれど自分に矛先が向かない事を知っていたからだ。
何より、グリシーヌがそうなった時のサジータの反応を見てみたいというのが花火の本音だった。
それに、今夜はグリシーヌがそうなるのを毎度ながらに止めているロベリアが不在となれば、好機に他ならないと言えるだろう。
「グリちゃんだって素直じゃないの」
そう笑うサジータの頬にも少し赤みが差している。
ほろ酔い加減なのかもしれない。
「私が素直?ほぅ、そなたにはそう見えるのか。花火はどう思う?」
空になったグリシーヌとサジータのグラスにワインを注ぎながら花火が答える。
「そうね。私はグリシーヌもサジータさんも素直で可愛らしいと思うわ」
微笑んでそう言った花火にグリシーヌとサジータが照れ臭そうに笑う。
「私をその様に言うのはそなたぐらいだぞ?花火」
「アンタにそう言われると少し照れ臭いな」
「ふふ。そうですか?」
妙なこそばゆさを誤魔化す様にグリシーヌが一気にワインを飲み干す。
ふぅ…と大きく息を吐いたグリシーヌの目が更に据わって、目つきが少し鋭くなる。
その一瞬の変化に気付くと花火は笑みを浮かべた。
(さて、どうされますか?サジータさん)
隣に座るサジータの顎に手を伸ばすグリシーヌ。
「…そなたは本当に可愛いと思うぞ?」
「ど、どうしたんだよ?グリちゃん」
「可愛いと思うものを愛でたいと思うのは当然であろう?」
フッと笑って、グリシーヌはサジータの首筋を指でなぞり舌を這わせる。
「……っ……」
その舌の感触にサジータの背筋が伸びる。
「声を聴かせてはくれないのか?やはり私では不足か?」
目を細めてそう言ったグリシーヌの表情はいつもと違って不敵だ。
困惑しているサジータに小声で花火が言う。
「(…すみません、サジータさん。こうなってしまうと、その…)」
そう口篭もった花火に焦りの表情でサジータが小声で返す。
「(だからって、どうすりゃいいんだよっ…)」
「(大丈夫です。暫く付き合ってあげるとそのうち寝てしまいますから)」
ニッコリ。
要するに。
暫く相手にしていれば酔いが更に回って寝てしまうから、それまで健闘を祈るという事らしい。
「(そのうちって…。ああ、もう!分かったよ!)…不足?グリちゃんが?そんな訳ないじゃない」
「しかし、声を聴かせてくれないではないか」
拗ねた様に言った後、何かを思いついたのかサジータのネクタイを緩めると一気に引き抜いた。
「…まだ足りないという事なのであれば、与えるだけの事だ」
「そ、そういう事じゃなくて!ほら、恥ずかしいじゃないかっ。花火も見てるし、ねっ?」
シャツのボタンを外そうとするその手を防ぐ様に手を握ってサジータがグリシーヌに問い掛ける。
「花火なら大丈夫だ。私の親友であるからな。口外する事など決してない。…そうであろう?花火」
「ええ」
笑顔で頷く花火。
頷いた花火に慌ててサジータが言う。
「(おいおい、花火っ。何頷いてっ)」
「(早く休んで欲しいならば合わせるのが肝心ですよ?サジータさん)」
「(ええっ?!分かったよ…)」
「何を二人でこそこそ話しておるのだ?」
小声でひそひそと話す花火とサジータにグリシーヌが眉をひそめる。
「な、何でもないよ。花火はグリちゃんに信頼されてるんだねって言ってたんだ」
「ふっ、当然だ。…それよりも、観念したらどうなのだ」
握られている手を自分の方に引き寄せて、サジータを抱き留めると手の甲にキスを落としてから指の形をなぞる様に唇を寄せる。
「観念って…」
ため息を吐いたサジータの一瞬の隙をついてサジータの左手を離すと、グリシーヌはサジータのシャツのボタンを外し襟元を開いた。
胸元が見えるサジータのその格好を満足げに見つめるグリシーヌ。
「…聴かせて貰うぞ、そなたの声を」
襟元に顔を寄せ、鎖骨を舐めた後に軽く歯を立てる。
「……ぁ……っ…」
思わず声を嬌げてしまい、ハッと口を抑えるサジータ。
ちらとグリシーヌを見ると、ニヤと口角を上げて自分の方を見ている。
「えっと…」
視線に耐えきれなくて、そう誤魔化すとギュッと抱き締められた。
「…全く、そなたは可愛いな…」
囁く様にそう言われ顔が熱くなってくる。
─ふと、体重が急にかかり思わず手を後ろについた。
「グリちゃん…?」
そう呼びかけるが返事がない。
耳を澄ませて見ると「すぅー」と寝息が聞こえて来て。
確認をする様に花火に聞いてみる。
「(寝ちまったのか?グリちゃん)」
グリシーヌの顔を覗き込んで確認をする花火。
「(はい。その様ですね)」
「そっか。良かった」
苦笑しながらグリシーヌを体から離しソファに横たわらせ毛布を掛ける。
「ご苦労様でした。グリシーヌがご迷惑をお掛けしてしまって…」
頭を下げた花火に「そんな事ないよ」と返して、グラスに口を付けるサジータ。
「でも、アンタが居てくれて助かったよ。花火」
ホッとした様に息を吐いたサジータを花火は思案顔で見つめた─。
(後編へ続く)
ご馳走様でした!!ニヤニヤが止まりません。後編楽しみにしています( ´ ▽ ` )ノ
ありがとうございます!
予想以上に楽しくて長くなりました(笑)
140SSにしなくて良かったです(^_^;