「うーん…」
花火の後ろ姿を見つめながら何やら思慮深けなサジータの声に振り返ると、花火はその顔を覗き込む様に下から見上げた。
「どうされたんですか?サジータさん」
視界で突然に目が合った花火に驚きの声を上げると
「あ、ああ、いや。何でもないよ」
と苦笑して返すサジータ。
「そうですか?」
そう聞き返した花火に手短に
「ああ」
と頷いて見せるとサジータにしては珍しく決まり悪そうに顔を背けた。
その態度に思い当たる節があるのか微笑を湛えると花火が言った。
「…昴さんに似ていますか?」
その言葉に
「バレたか…」
と表情を崩すサジータ。
「い、一瞬だけな?」
「ふふ。正直なんですね」
「隠す事じゃないしね。何故だか、アンタには隠し事が出来ない気もするんだよ」
「昴さんに似ているからですか?」
「はは。それもあるかもな」
そう笑ったサジータを意味ありげに見つめると、その髪留めに指を伸ばして取り去る花火。
サジータの長い髪が解かれ、花火の目の前に散らばる。
「花火…?」
何が起きたのか解らないでいるサジータの髪を指先で掬い取りキスを落とす。
目を合わせ、極上の笑みを湛えるといつも通りの穏やかな声で花火が言った。
「昴さんはどの様にあなたに触れるのですか?サジータさん。…似ていると仰るなら伺っておかないといけませんね」
その笑顔にサジータはただ赤面した。