…どうして思い通りに行かないんだろうと思う。
いつも、あと一歩の処で交わされて一笑に付されて。
「くそっ…」
込み上げる苛立ちを隠せずに近くにあった箱を蹴飛ばすロベリア。
箱の中の物が床に散らばって雑然となる。
たまたまそこを通り掛かったのか床に散った物を拾い上げながらマリアが言った。
「…物に当たるのはどうかと思うわ」
冷静なマリアの物言いに、眉をひそめるロベリア。
「じゃあ、アンタになら当たってもいいのかよ?」
そのロベリアの言葉にため息を吐くと、間合いを詰めマリアはロベリアを壁際に押しやった。
「…当たれるものなら当たるといいわ」
低い声色でそう挑発する様に。
その挑発に口角を上げると、マリアの襟を掴み自分の方に引き寄せ、ロベリアは噛み付く様にその唇を奪った。
暗黙の内に互いに舌を絡め、吐息を交ぜ合って。息継ぎの音だけだがその空間を支配していく。
「……それで、何に腹を立てていたの?」
ようやくを唇を離した後、不敵に笑ってマリアが問う。
その問いにニヤと笑ってロベリアが答える。
「…さぁな。忘れちまったよ。誰かさんが散々焦らしてくれるもんでね」
「そう?だったらいいけど」
ロベリアの頬に指で触れて。
「焦らすのは止めたのか?」
マリアの服のボタンに手を掛けながらロベリアが言う。
「…それはどうかしら?」
「…イイ性格してるぜ」