「肉体疲労時の栄養補給に」ロベグリ (11/01月作成)


 「あー!!やってられるかよ?!」
 不機嫌そうに楽屋のテーブルに突っ伏すロベリア。
 「何だ。これしきで根を上げるとはそなたもだらしがないな」
 そんなロベリアに勝ち誇ったようにグリシーヌが言う。
 「どこが”これしき”だよ?!一日3回回しとかあり得ないだろ?!」
 シャノワールは夜営業のみだろ?と不服そうにロベリアが言った。
 どうやら本日の公演回数の事を言っているらしい。
 「仕方がないであろう?グラン・マだって何か考えがあるのだ」
 「大体、その中の1公演がお偉いさんの貸し切り公演だろ?どう考えても”接待”ってやつじゃないのか?」
 「うむ…」
 ロベリアの指摘に口をつぐむグリシーヌ。
 「ほら、アンタだって納得してないんじゃないか」
 「…グラン・マにも何か考えがあるのかもしれないと申したではないか」
 どうにも言いにくそうにグリシーヌが言った。
 「なるほどね。…なぁ、あと1公演バックレないか?」
 「は?」
 ロベリアの提案に思わず聞き返すグリシーヌ。
 「アタシらなりの意思表示ってヤツさ」
 そう口角を上げるロベリア。
 「馬鹿な事を申すな!ほら」
 ロベリアの提案に呆れたようにため息を吐くとグリシーヌは小さな箱をロベリアに差し出した。
 「?何だよ」
 「ショコラだ。疲れているからそういう事を考える。これで少し頭を冷やすが良い」
 「アタシはそんなに疲れているように見えるかよ?」
 「違うのか?」
 ロベリアに言わせると見当違いなグリシーヌに大袈裟にため息を吐いて見せた後。
 何を思いついたように含み笑いをして、ロベリアが言った。
 「─じゃあ、正解だ。ただし、アタシの疲れはショコラなんかじゃとれないね」
 「そうなのか?」
 「ああ。…あるだろう?ショコラよりも甘いものがさ」
 そう言われたもののグリシーヌには見当もつかない。
 てっきり酒だと言われると思ったのだ。
 「分からないのか?」
 「そのようなものが本当にあるのか?」
 思い当たる節がないと眉をひそめるグリシーヌ。
 そんなグリシーヌの様子にニヤニヤしながら顔を近付けるロベリア。
 「…アンタの事に決まってるだろう?」
 そして、その耳元で低く囁くと、
 「!?」
 余りの事に絶句するグリシーヌの耳朶を甘噛みして、言った。
 「─これ以上の甘いものは知らないんでね。覚悟しな」
 その後の公演でサフィールが輝かんばかりの笑顔を披露したのは言うまでもない─。

 
title : Fortune Fate君を例える3題「砂糖菓子よりもふわふわ甘い」

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