ふと疑問に思って聞いてみる。
「なぁ、花火。アンタってヤキモチを妬くのか?」
傍らで静かに酒を飲んでいる花火にロベリアが言う。
どうにも花火がヤキモチを妬いている姿が想像出来ないのだ。
仮に浮気をしたとしても、そのまま放って置かれるのではないかとさえ思ってしまう。
「ヤキモチですか?」
「ああ」
「…どうでしょう?」
相変わらず他人事の様に話す花火に苦笑するロベリア。
「おいおい。アンタの事だろうが」
「そうなんですけれど、判らないのです」
「判らない?」
「はい」
「妬いた事がないって事か?」
ロベリアのその質問に頷くと、花火は盃を置いて頷いた。
そして、何かを思い出したのかフッと笑って。
「どうした?」
花火が思い出し笑いをするのは珍しい。
思わず、見返すロベリア。
「以前の私は浮気をされるのは此方に落ち度があるからという風に考えていたんです。ですから、ヤキモチを妬くなどと考えた事がなくて…」
「された事あるのか?浮気」
経験があるかの様な花火の口振りにロベリアが聞く。
「いいえ」
首を振る花火。
「じゃあ、何でだよ?」
「そういうものだと思ってましたから」
「今はどうなんだ?」
「今日は随分と質問が多いんですね」
先程からすっかり質問攻めのロベリアに花火が指摘する。
「あ?面倒くさいか?ってこれも質問か…」
肩を竦めて苦笑したロベリアに微笑む花火。
「いいえ。ロベリアさんにしては珍しいなと思いまして」
「…アンタがヤキモチを妬くところを想像出来なかったからさ」
「妬いて欲しいんですか?」
ロベリアの言葉に今度は花火が質問して。
その質問に花火を見つめると顎に指を伸ばしてロベリアが言った。
「だって、その方が面白いじゃないか」
「面白い、ですか?」
「アンタが取り乱すところを見たいってだけさ。抱いている時以外でね」
口角を上げてニヤニヤするお決まりの表情に花火の頬が紅く染まる。
「そういう事ばかり仰って、浮気でもされるおつもりですか?」
「アンタがヤキモチ妬いてくれるんならな」
「…それでも、ロベリアさんの本気が此方にあるんでしたら構いませんよ?」
打って変わって笑みを浮かべた花火に苦々しい表情のロベリア。
…これならば、分かりやすくヤキモチを妬かれた方が余程マシだ。
かえって、恐ろしくて浮気など到底出来ない。
これをヤキモチと言わずして何と言うのか。
「…悪かったよ。アタシはアンタだけに本気だよ」
「…ありがとうございます。ロベリアさん、お誕生日おめでとうございます」
そう微笑み返してロベリアの空になった盃に酒を注ぐ花火。
「全く、とんだ誕生日だよ。甘いムードも何もあったもんじゃない。アンタには敵わないね、花火」
花火から酌を受け、一気に飲み干すロベリア。
「甘いムードはそうですね…。ロベリアさん次第ですね」
「…アンタならそう言うと思ってたよ」
そう鼻で笑うと、目を合わせ。
そっと目を閉じた花火に口付けた─。
今年のロベ誕はロ花にしてみました。
いや、書いててロベが花火さんに気圧されまくってどうしようかと思いました(笑
しかし、あくまでも灰色仕様の花火さんだと言い張ります。
何でしょうね、ロベは割とどのカプでも振り回されるイメージが。
結局、優しいからなんでしょうね。
振り回されて喜んでいる節もある気がしますが!
ロベリアお誕生日おめでとう!
と、いうところで。