昴サジ。

 ハーレムの路地裏。
 バウンサーに寄り掛かりながらぼんやりと夜空を眺めるサジータ。
 「…此処ってこんなに星が見えたんだな」
 サジータを見つけて歩み寄ってくる昴にぽつりと言う。
 「…知らなかったのか?」
 肩を竦めて昴が返す。
 「いや、忘れてた」
 そう苦笑して、自分の前に立った昴を抱き締めて。
 「…助けてやりたかったなぁ…」
 沈んだ声で独り言ちるように言ったサジータに昴が冷静に返す。
 「絶対など存在しない」
 その言葉に頷くサジータ。
 「…解ってる」
 「自分の未熟さを反省したんだろう?」
 「…傲慢だったかもね」
 そう言ったサジータの表情に目を細める昴。
 「…それが君の今回の収穫だな」
 「…明日からまた勉強し直すよ」
 顔を上げて昴から体を離してバウンサーに寄り掛かる様に座るサジータ。
 そのサジータの頬に指で触れる昴。
 「…それが解るだけ君はマシだな」
 昴なりの励ましにサジータから笑みが零れる。
 「アンタがそう言うなら心強いよ」
 「…一杯だけなら付き合ってやろう」
 「さんきゅ」

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