モンマルトルの丘の上からぼんやりと巴里の街を眺めながらグリシーヌはため息を吐いた。
どうして昴の事ばかりを考えてしまうのだろう。
「…あやつの事だ。私の気持ちなど見透かしているのだろう」
そう独り言ちて、昴の顔を思い浮かべてみると総てが見えているかの様に冷静な瞳で見つめ返して来る。
好きだと伝えた処で軽く交わされてしまうのではないかと思う。
しかし、ひたすらに募っていくこの想いをどうして良いか判らない。
「そなたが好きなのだ、昴。そなたに触れて強く抱き締めて、私のそばを離れるなと囁くから。…私を好きだと言ってくれ…」
切望をただ胸に秘め、グリシーヌは昴をただ想う。