相変わらず何の前触れもなく窓から部屋に入り、ソファで読書をするグリシーヌの前につかつかと歩み寄り、ロベリアは噛み付く様にその唇を奪った。
その唐突さにたじろぎもせず、そのキスに応えるグリシーヌ。
互いの吐息と唾液が混じり合って熱さが程良くなった頃に唇を離すと、ロベリアが言った。
「…アンタをその気にさせるのに、このキスで足りるか?」
グリシーヌの手から本を奪い取ると、挑発する様にグリシーヌの手を自らの胸へと導くロベリア。
「…そうだな。そなたの熱を私の指が欲していたところだ」
そう応えたグリシーヌに口角を上げ自らコートを脱ぎ捨てる。
「─指だけじゃないだろう?」