「サニー?」
居ると思った所に姿が見えないと妙に不安になるのはどうしてなのだろう。
思わず、主の居ない椅子に腰掛けるラチェット。
「…別に遠くに行った訳でもないのに…」
そう独り言ちて、小さく息を吐いてから立ち上がると、ドアがガチャリと開いて。
そうして、入って来た人物と目が合った。
「ん?ラチェット、どうしたんだい?」
自分の執務椅子から立ち上がった体のラチェットに不思議そうな顔でサニーサイドが問う。
見られたとラチェットの頬が上気する。
「あ、あの…これは何でもないのその…」
「そう?ならいいけど」
そうラチェットに近付いて、その頬に手で触れるサニーサイド。
「し、仕事に戻るわ」
思わず、顔を逸らすラチェット。
羞恥心から早くこの場を立ち去りたいラチェットにサニーサイドが言う。
「僕が居なくて寂しかった?ラチェット」
「…どうして?」
「んー。ドアを開けて君と目が合った時、そういう顔をしてたから、かな」
その言葉で一気に赤面するラチェット。
「…あなたの気の所為じゃなくて?」
照れ臭さからそう返したラチェットに微笑んでサニーサイドが言う。
「残念ながら君の事に関して相当ポジティブなんだよ、僕は」
「そ、そう」
「だから、そこは諦めてくれるかな。…ラチェット、僕が居なくて寂しいと思ってくれてありがとう」
そう額にキスを落とした。