目の前でロベリアの髪がふわふわと揺れる。
猫の様にふわと心地良い感触をもたらすであろうその髪に何度も手を伸ばしそうになり、その度に手を引っ込めるグリシーヌ。
だが、どうにも誘惑に耐えかねたのか意を決してロベリアに言う。
「…ロベリア。そ、そなたの髪に触らせて欲しいのだが」
グリシーヌの唐突な頼みに一瞬、思案顔をしてロベリアが頷く。
「ああ。いいぜ」
「何?!本当か?!」
ロベリアの返事に嬉しそうな表情を浮かべて、その髪に手を伸ばすグリシーヌ。
妙に心臓が高鳴って指が震える。
そして、その細くてふわとした髪に触れ、その想像通りの感触に恍惚さえ感じられて。
「ほぉ…」
と思わずため息がグリシーヌから漏れる。
そんなグリシーヌにロベリアが笑いながら言う。
「そんなに触りたかったのか?」
「そ、その猫の様だと…」
今更ながら羞恥心が湧いてきて頬を染めるグリシーヌ。
「…なぁ、髪を触るって行為は誘ってるって思っていいんだって聞いた事ないか?」
「は?」
予想外の言葉に思わず聞き返すと、ロベリアはグリシーヌの髪に自分の指を絡ませてから言った。
「髪は触られて気持ちのイイところの一つだからさ。あんたもそうだろう?」
ロベリアに触れられている髪が熱を帯びているかの様な感覚に体が上気してくる。
「…だから、アンタの誘いにのってやるよ」