「…久し振りに食事でもと仰るから来てみればどうして此処なんです?」
呆れた様にサニーサイドが言う。
「懐かしいだろう?」
そう返したのはこの国の最高権力者である人。
「…そうですが」
二人が居るのはダウンタウンの外れにあるお世辞にも綺麗とは言えない小さなバー。
「ここが私の原点だからだよ」
そう煙草を取り出した大統領に火を差し出しながらサニーサイドが言う。
「…まぁ、僕にとっても原点ですがね。あの禁酒法の下で美味い酒を知る事が出来たのも飲み方を知ったのも此処だ」
「…ああ。良い時間だった。此処ではみんな笑っていた」
そう当時を懐かしむ様に笑う大統領を見つめるサニーサイド。
「…何が仰りたいんです?閣下」
「国民の笑顔を守っているのはお前達に他ならない。結局、私は無力なのだと思ってな」
自嘲気味にそう言った大統領を鼻で笑うサニーサイド。
「つまらない嫉妬ですね。だが、あなたにはまだその地位に居て貰わねば」
「お前が利用するに値するか?」
「そうでなければ困る」