「やりにくくてしょうがない」ロベ花 花火誕(11/05月作成)


「─明日だったよな」
ポツリとロベリアが言った。
「え?」
思わず聞き返す花火。
「アンタの誕生日だよ」
「あ、はい」
「何だよ。そのすっとぼけた返事は」
花火のハッキリしない返事に眉をひそめてロベリアが言う。
「いえ…」
言葉を濁す花火。
「何だよ?」
「…ロベリアさんはやはりお優しい方なのだと」
「はぁ?!どうして、そうなるんだよ?!」
「私だけではなく、皆さんのお誕生日も忘れないじゃないですか」
花火のその指摘に極まり悪そうにロベリアが答える。
「それはアレだ。あいつらが騒いでるからだ」
素直に認める訳にはいかないらしいロベリアの様子に花火から笑みが零れる。
「って、何笑ってんだよ?!」
「何だか嬉しくなってしまったので」
「嬉しい?」
「はい。皆さんのお誕生日を覚えてらっしゃるロベリアさんが素敵だと思いました」
正面切ってそう言われては恥ずかしさでどうにも居たたまれない。
苦虫を噛み潰したような顔で舌打ちをした後、ロベリアが言った。
「ああ、もうっ。止めろ止めろっ。いい加減にしないと燃やすぞ?!」
そのロベリアの言葉も照れ隠しだと解っているのか、平然と花火が返す。
「それは困りますね」
少しも困った様子のない花火に肩を竦めるロベリア。
「ったく、アンタは…。アンタの誕生日だけ覚えておけとかそれ位は言ったらどうなんだ」
「ああ。それは思いつきませんでした。そう申し上げた方がよろしいですか?」
「もう、いいよ…」
まったく、調子が狂うと思う。
「そうですか?」
「─それより、今夜はどうなんだよ?」
ようやく、本題に入ってロベリアが問う。
「特に何も予定はありませんが」
「じゃあ、空けとけよ」
「はい。あの…」
「何だよ。今更、用を思い出したとか言うんじゃないだろうな」
「いえ。その、」
何だか言いにくそうな花火。
「言えよ」
「違っていたら申し訳ないのですが、ロベリアさんはもしかして、」
誰よりも早くお祝いして下さるつもりなのでは、という花火の言葉は発せられなかった。
花火の言わんとしている事に気付いたのか、ロベリアが花火を止めたからだ。
「あー!やっぱいい!言うな!ったく、本当にアンタは…」
「申し訳ございません」
「そういうのは例え気付いても胸に秘めておけよ。こっちが恥ずかしくなるだろうが」
「はい」
「本当、やりにくくてしょうがないよ…。まぁ、でも」
そう溜息を吐いた後。
花火を見つめるロベリア。
「そんなアンタに惚れたんだから仕方がないさ」
そう言うロベリアの表情は穏やかで。
それは多分、花火の前でしか見せない表情かも知れない。
「…ありがとうございます」
そのロベリアの言葉に頬を染めながら、花火が頭を下げる。
「じゃあ、後でな」
花火の言葉に照れ臭いのか踵を返して歩き出すロベリア。
「はい。お待ちしております」
微笑んで答える花火。
暫く道を歩いていつの間にか姿を雑踏へと紛らわせたロベリアを見つめながら、夜に思いを馳せるのだった─。

 

~あとがき~

花火誕、ロベ花でした。
今回の花火さんは白寄り(?)に見えますが、うちの花火さんはあくまでも灰色仕様です(笑
でも、誕生日らしい話かと言えばそうでもない…orz

花火さん、お誕生日おめでとうございます!!
と、いうことで。

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