「青天の霹靂」グリロベ(11/05月作成)


その事態は唐突に訪れた。
不測の事態とはこのことを言うのだろう。
何故、そのようなことになってしまったのか。
気が付けば、袋小路に二人。
壁を背にしているのも女ならば、半ば追い詰めるように向き合って立っているのも女。
不本意にも壁際に追いやられたロベリアは舌打ちをした。
「いい加減、観念したらどうだ?」
そんなロベリアを追い遣りながら不敵に笑って、グリシーヌが言った。
「ふん。観念したらどうしてくれるんだ?」
劣勢だというのに鼻で笑ってロベリアが返す。
「どうするか、だと?それを申すか─」
そう言った後。
ロベリアの頬に手を遣るグリシーヌ。
「そなたに触れるに決まっておる」
「へぇ。ジョークにしちゃ面白くないね」
触れられたままグリシーヌの手を払う事もなくロベリアが言った。
「当然だ。冗談などではないからな」
どうやらグリシーヌはいたって大真面目らしい。
寝ぼけるのも大概にしろという文句も効かなさそうだ。
「そなたに触れさせろ」
「生憎とアタシはそういう趣味はない」
「勿論、私もだ」
「は?」
触れさせろと豪語しておきながら、全く意味が分からない。
思わず、聞き返すロベリア。
「自分のやってることも解らないのか。馬鹿だからか?」
「どう言われても構わぬ。とにかく、触れさせろ」
「ああん?何、サカってんだ?お嬢チャン。アンタじゃアタシの相手は役不足だって言ってるんだよ」
そう頬にあるグリシーヌの手を払おうとしたロベリアの腕をグリシーヌが掴む。
「そなたに触れたら、答えが解る気がするのだ」
「答え?ふん、そんなもんは知ったこっちゃない」
吐き捨てるように言ったロベリアの肩を押さえつけるように強引に顔を埋めて、声を押し殺してグリシーヌが言う。
「…ならば!ならば、どうしろと言うのだ…?!この理解出来ない感情はどうすれば良い…?!」
悲痛とも取れるグリシーヌのその吐露に、舌打ちをするロベリア。
一拍置いた後に言う。
「…ったく、何なんだよ?!アンタは!?」
「私にも解らぬ…!」
「お話にならないな」
「すまぬ…」
ロベリアの肩に顔を埋めたままそう言ったグリシーヌにいつもの覇気は無い。
「……ああ、くそっ。やりにくいったらないね」
あまりの手応えの無さに面白くなさそうにそう呟いた後。
顔を背けたまま、ロベリアが言った。
「……アンタの好きにしろ」
思い掛けない言葉に思わず顔を上げるグリシーヌ。
「!?」
「…アタシは気が短いんだ。早くしろ」
「ロベリア…」
先程とは打って変わって、おずおずとロベリアの頬に手を遣りその輪郭を確かめるように触れ、指でそっとその唇に触れた後。
グリシーヌはロベリアに口づけた。
ただ触れるだけのキスなのにも関わらず、グリシーヌの感情が流れてくるような衝動に妙な焦燥感を覚えるロベリア。
「…すまなかった」
唇を離し、ロベリアをようやく解放してグリシーヌが言った。
「…で、解ったのかよ?アンタの答えってのは」
あくまでも、冷静さを装ってロベリアが返す。
「…ああ」
「へぇ…。ってことはアタシはもう用済みだな」
(これ以上、関わって堪るかよ)
嫌な感じを受けたのか早々に踵を返そうとしたロベリアの腕を再びグリシーヌが掴む。
「ああん?!」
「私はそなたが好きだ。もっとそなたに触れたい。だから、私のものになれ」
先程までの悲痛な表情は何だったのか、晴れ晴れとした表情でグリシーヌが言った。
嫌な予感が的中した脱力感とその勝手な言葉に眉をひそめるロベリア。
「ああ?!」
そして、これ以上の損害を防ぐべく壁を足場に跳ねると近くの屋根に駆け上がった。
「アンタの戯れ言には付き合ってられない」
そう吐き捨てるように言うとその場を立ち去ったのだった。
「待てっ」
独り、其処に残された格好のグリシーヌ。
途中まで追いかける姿勢を見せたが、すぐにそれも止めロベリアの去った方向を見つめる。
口元に笑みさえ浮かべて。
どうやら、完全に吹っ切れたらしいその表情は何かを企んでいるようにも見えて。
これから起こるであろうロベリアの災難を思わずにはいられない─。

 

~あとがき~

リクエストは”むっつり故に積極的攻めのグリ”でグリシーヌ×ロベリアでした。
初カプでしたが、いかがでしたでしょうか?
グリは天然系攻めだと思うので目覚めちゃったら、もうねぇ(笑
ロベがちょっと優しさ見せたら、グリがつけ上がっちゃうとか良いですね(*´Д`*)
グリロベはガツガツいって欲しいと思います(爆

お名前を伺ってませんが、リクエストありがとうございました!!

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