「なぁ、グリシーヌ」
ベッドの傍らにある椅子に座ってぼんやりと窓の外を眺めながら、グリシーヌを呼ぶロベリア。
その身はシーツだけに包まれている。
「何だ?」
シーツを手繰り寄せベッドから身を起こしながら、グリシーヌが返事をする。
「…誕生日オメデトウ」
「は?」
ロベリアから聞こえてきた思い掛けない言葉に思わず聞き返すグリシーヌ。
「…違ってたかよ?」
グリシーヌのその反応につまらなさそうにロベリアが返す。
「い、いや。その通りだ」
「何だ?アタシがアンタの誕生日を祝っちゃ悪いかよ?」
どうにも反応が悪いグリシーヌに不機嫌そうにロベリアが言った。
「そうではない。驚いておるのだ」
グリシーヌからすればまさかロベリアから素直に祝いの言葉を掛けられるとは思っても居なかったのだから、この反応にも無理はない。
「ちっ。慣れない事はするもんじゃないってことか」
「確かにそなたらしくはない」
ロベリアの言葉に頷くグリシーヌ。
「もう忘れろ」
後悔すら覚えて吐き捨てるようにそう言うロベリア。
「…だが、とても嬉しく思う」
言った後、恥ずかしいのかロベリアから顔を逸らすように再びベッドに横たわるグリシーヌ。
誕生日と言えば、自分がブルーメール家の跡継ぎとしていかに成長したか、それを周囲に改めて知らしめる日だった。
とりわけ、尊敬する父アルベールを失望させぬよう準備を入念に行って臨むものだった。
グリシーヌにとって、誕生日は父の誇らしげな顔こそが何より嬉しいものだったのだ。
今でもそれは変わってはいない。
だが、今はそれ以上にロベリアからのこの言葉を素直に嬉しいと思う。
「ああ…」
ロベリアはそう頷いて次の瞬間立ち上がると、ベッドに腰掛け横を向いているグリシーヌの髪を指に絡め取りキスを落とした。
そして。
囁くように言う。
「…今日一日、アンタのそばに居させてくれ」
その言葉にグリシーヌが半ば夢見心地にうっとりとしながら、返す。
「─答えは勿論、”ウィ”だ」
その返事に満足そうに口角を上げると、ロベリアはグリシーヌのシーツに指を滑らせたのだった─。
グリ誕SSでした。
たまには直球でということで!
折角のグリ誕なのにエロなしで申し訳ないです(;´Д`)
ひとまず、いちゃいちゃロベグリ書けて良かったです。