年賀状2011 ロベグリ


日付が変わる瞬間を一緒に過ごす。
今ではそれが何回目か判らないほどそんな風に共に夜を越えてきたのに、どうしてこの日だけが特別なのだろうと思う。
何でも特別だと付ければ良いものじゃない。
「そうだろう?」
─と、腕の中のグリシーヌに同意を求めるロベリア。
「”特別な日”は幾つあっても良いではないか」
少し夢見心地にグリシーヌが答える。
「はぁ?それじゃ、”特別”にならないだろう」
「そうであろうか」
”特別”なことが多いということは幸せでもあると思うとグリシーヌが返した。
「それが幸せな事だとは限らないだろう」
「─それでも、誰かを想うというのは幸せなことだとは思わぬか?」
「そんなもんかねぇ…」
「少なくとも私はそう思う」
どうにも同意しかねる様子のロベリアの顔を見つめるグリシーヌ。
そして、続ける。
「それに─」
「ん?」
「今年の始まりは今日だけだ。これを”特別”と言わずして何と言う」
それで、グリシーヌの言わんとしていることを理解したのかロベリアが小さく笑った。
「…なるほど、確かに”特別”だ」
そうグリシーヌの指先にキスを落とす。
「そうであろう?」
満足そうに微笑むグリシーヌ。
「ま。今年も構ってやるよ」
「仕方がないから、付き合ってやる」
そう言い合って、笑う二人。
そんな新しい年の始まり。

 
と、いうことでお年賀SSです。
今年もよろしくお願いします!!
(フリー配布は終了いたしました)

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