「あー。ったく、暑くて腹立つな」
ソファに横になりだらしなく足を投げて、手で顔を扇ぐロベリア。
「これしきの暑さでだらしのない」
そんなロベリアに呆れ顔でグリシーヌが言う。
「そういうアンタだって、さっきからシトラス・プレッセばかり飲んでいるじゃないか」
チェイサーに用意されていたその量が既に1/3程に減っている事を指摘するロベリア。
「の、喉が渇いておるだけだ」
その指摘に決まり悪そうにグリシーヌが返す。
「大体、暑いのであったらそのコートを脱いだらどうなのだ」
そうロベリアのロングコートを指すグリシーヌ。
してやったりと勝ち誇ったような顔のグリシーヌに対し、何やら思案顔のロベリア。
「脱いでも良いけどよ。脱いだら、もっとアツくなるぜ?」
「は?」
「アタシだけ脱ぐ訳がないだろう?」
その言葉でロベリアの意図するところに気付いたのか、グリシーヌの顔が紅く染まる。
「ななななな、何を考えておるのだっ」
「なぁ、グリシーヌ?”暑い”のと”熱い”のとアンタはどっちが良い?」
ロベリアはそう言うと、不敵に笑ってから。
起き上がって、コートを脱ぎ捨てた─。
─今年の夏もアツくなりそうだ。
title by:Fortune Fate/夏のお題「脱いでもアツイんです」