─何故だか。
「グリシーヌさん、早くしないと置いてきますよー!」
グラン・マの命令で店の使い走りをする事になってしまったグリシーヌが嘆く。
「…まったく、何故この私が使い走りなどをせねばならぬのだ」
張り切って前を行くエリカとは対照的に不機嫌そうなグリシーヌ。
「しょうがないじゃないですか。メルさんもシーさんもお忙しそうなんですから」
「他の者だって居るではないか。何も私でなくても良いと思うが?」
不服さを前面に出してグリシーヌが言う。
「じゃあ、グリシーヌさんがヒマに見えたんですよ。きっと」
「なっ…」
普通であったら、”無礼者”と怒鳴りつけてやるところだが、エリカといったら機嫌良さそうに鼻歌などを口ずさんでいて非礼などとは一切思っていない様子だ。
これでは、怒る方が肩透かしを喰らってしまって却って疲れるだけだ。
思わず、眉間を指で押さえため息を吐くグリシーヌ。
「どうしたんですか?グリシーヌさん」
「いや、何でもない。気にするな」
「あーっ!」
突然何かを思いついたように大声を上げてから、グリシーヌを見るエリカ。
「…グリシーヌさん」
真剣な表情のエリカに何事かと不可解そうな顔でグリシーヌが答える。
「何だ?」
「大丈夫です。神様が見守って下さっていますから」
そう言ったかと思ったら胸の前で手を組んで祈りを捧げて。
「は?」
「安心してエリカを頼っちゃって下さっていいですよ!」
何故か得意満面な顔のエリカ。
「そなたの言ってる意味がよく解らぬが…」
「またまたー。恥ずかしがらなくても良いですよ。私とグリシーヌさんの仲じゃないですかー」
ポンポンとグリシーヌの肩を叩き、一人で納得して頷くエリカ。
「だから、何の事だと聞いている」
眉をひそめるグリシーヌ。
「グリシーヌさんの初めてのお使いなんですものね。エリカ、喜んでお手伝いしますから!」
「は?」
「初めての事をする時は誰だって不安なんですから、気にしないで下さいね!」
ますます張り切っているエリカに対して、一気に脱力して肩を落とすグリシーヌ。
「さぁ、行きましょう。グリシーヌさん」
そう手を差し出したエリカの顔を見つめて。
ふと、先ほどまでの不満がいつの間にか消し飛んでしまった事に気付く。
「…まったく、そなたには敵わんな」
苦笑して、その手を取るグリシーヌ。
「へ?」
「何でもない。頼りにしてるぞ、エリカ」
「はい!どーんと任せちゃって下さい!」
グリシーヌの言葉に満面の笑みで頷いて。
直後。
「!エリカ!」
「へ?」
振り返った瞬間、頭をぶつけるエリカ。
「!痛ーい!」
頭を抑えてその場にしゃがみ込む。
「大丈夫か?まったく、そなたは相変わらずだな」
呆れたように言ってから、今度はグリシーヌが手を差し出して。
「えへへ。ありがとうございます」
差し出された手を取って、起き上がるエリカ。
そして。
手に手を取って歩き出す二人。
他愛ない話をしながら進む道中には、笑顔の花が咲いていくことだろう─。
~あとがき~
リクは「いつも笑顔で仲良しで居るエリグリエリ」でした。
カプ話かどうかは微妙ですが、久々に(笑)ほのぼの系です( ̄ー ̄)ゞ
軸的には最終決戦後以降ならどこでも。
イチャイチャにはなりませんでしたが、微笑ましさが伝われば幸いです(*’ ‘*)
初カプで楽しかったです!
ありがとうございました!!