「お」
「どうかしたのか?」
突然、声を上げたロベリアを不思議そうに見るグリシーヌ。
「いや、年が変わったと思ってさ」
そう時計に目線を遣るロベリア。
「何?!」
ロベリアの言葉を聞くや否やグリシーヌが信じられないといった表情で天を仰いだ。
「何だよ?そんなに険しい顔をする程の事か?」
呆れたようにそう言ったロベリアに噛み付くように言う。
「新しい年を迎える瞬間なのだぞ?!…その瞬間を共に祝いたいと思うのは当たり前ではないか」
最後にポツリと呟くようにそう言ったグリシーヌにロベリアの表情が和らぐ。
「…まったく、可愛いな。あんたは」
「くだらないと思って居るのであろう?」
「いや、確かにあんたの言う通りだと思ったよ。珍しくな」
ニヤと笑うロベリア。
「確かに珍しくはあるな」
フッと鼻で笑って返すグリシーヌ。
「だろう?」
「ああ」
そして。
どちらからともなく近付いて、キスを交わす。
「今年もアタシを振り回してみせろよ?」
「そなたこそ私を振り回すがよい」
そう笑って、再びキスを交わす二人。
「「Un Bonne Année…」」