巴里ライブ・カウントダウン1!
「大神さーん!!」
突然、大神の前に飛び出して来るエリカ。
「ど、どうしたんだい!?エリカくん」
慣れた様子で突っ込んでくるエリカを受け止め、大神が言った。
「っとと!ありがとうございます!じゃなくて、明日は何時に待ち合わせます?」
「え?明日?何か約束してたかい?」
「いやですねぇ!したじゃないですか!」
「そうだったかなぁ?」
自信たっぷりにそう言うエリカに首を捻る大神。
どうにも思い当たる節がない。
「はい、昨夜の夢でそれはもうしっかりと」
沈黙。
『エリカくん、それは”約束”したって言わないよ…』と言うのを抑えて大神が答える。
「それで、俺はエリカくんに何て言ったんだい?」
「いやですねぇ、自分が言ったことを忘れちゃったんですか?」
「はは。実はそうなんだ」
「もう仕方ないですねぇ。教えてあげます」
「済まないね」
「大神さんはこう仰いました。『ノエルはエリカくんと過ごすって決まってるんだけど、どうかな?ちなみに、ウィ以外の答えは受け付けない』と」
ウットリしながらそう語るエリカに苦笑しながら聞く大神。
「そ、それでエリカくんは何て答えたんだい?」
「何言ってるんですかっ。大神さんは”ウィ”以外は認めないって仰ったじゃないですか!」
「あ、ああ。そうだったみたいだね」
「で。どうします?」
打って変わって、冷静に大神に問うエリカ。
「でも、エリカくんはその日は教会じゃないのかい?」
「そうなんですよっ。でも、大神さんは”ウィ”以外は駄目だって言うし、エリカ困っちゃいますよ。もう」
ハァとため息を吐いて、恨めしそうに大神を見る。
そう言われると自分に否はないのに申し訳ない気持ちになってくるから不思議だ。
それに、エリカの言ってることもあながち嘘ではない。
これはエリカの夢での出来事だが、実際にノエルをエリカと過ごしたいとも思っていたのだから。
「それじゃ、俺が教会へ行くよ」
「本当ですか?!」
大神のこの申し出にエリカの目が輝く。
「ああ。だから、エリカくんの隣は空けて置いてくれるかな?」
「ドーンと任せちゃって下さい!大神さん、一緒にお祝いしましょうね」
「ああ」
笑顔の二人。
そんなノエルの夜に神は舞い降りるのかも知れない─。