『理由なんか後付けです。』新×ラチェ(09/06月作成)


 「それで大河君、相談って?」
 新次郎の正面に座って真剣な表情のラチェット。
 「え、えっと…ですね」
 対し、妙におどおどして落ち着かない様子の新次郎。
 「ええ」
 「…えっと、その…」
 「どうしたの?」
 何やら口ごもる新次郎を心配そうに見るラチェット。
 「言いにくい事なの?」
 「…いえ、違うんです」
 俯く新次郎。
 「違うって何が?」
 「ごめんなさい、ラチェットさん!」
 急に頭を下げる新次郎。
 「どういうこと?」
 「相談があるって言ったのは、その、口実なんです」
 「口実?」
 「はい。ラチェットさんをデートにお誘いしたかったんですけど、どうお誘いしたら良いか分からなくて、その…」
 はぁ…とため息をついて、面目なさそうに新次郎が言った。
 「そう…」
 静かにそう言ったラチェット。
 怒られるんじゃないかと覚悟する新次郎。
 ところが。
 「もう、バカね」
 呆れた様に笑って、ラチェットが言った。
 「あなたから誘われて、私が断ると思うの?」
 「ラチェットさん…」
 その言葉に感動した言わんばかりの新次郎の表情。
 「”相談がしたいことがある”なんて、心配になるじゃない」
 「すみません…」
 「デートならあなたの恋人でいられるけど、相談だったらあなたの上司でいなければいけないのよ?」 
 「はい…」
 「もう、それだけでも損した気分だわ」
 「面目ないです…」
 小さくなる新次郎。
 「だから、大河君。ここから先はあなたの恋人で居させてね」
 そう頬を染めたラチェットに見とれながら、新次郎は大きく頷いたのだった。

title : お題配布所 せぴあす+

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