「それで大河君、相談って?」
新次郎の正面に座って真剣な表情のラチェット。
「え、えっと…ですね」
対し、妙におどおどして落ち着かない様子の新次郎。
「ええ」
「…えっと、その…」
「どうしたの?」
何やら口ごもる新次郎を心配そうに見るラチェット。
「言いにくい事なの?」
「…いえ、違うんです」
俯く新次郎。
「違うって何が?」
「ごめんなさい、ラチェットさん!」
急に頭を下げる新次郎。
「どういうこと?」
「相談があるって言ったのは、その、口実なんです」
「口実?」
「はい。ラチェットさんをデートにお誘いしたかったんですけど、どうお誘いしたら良いか分からなくて、その…」
はぁ…とため息をついて、面目なさそうに新次郎が言った。
「そう…」
静かにそう言ったラチェット。
怒られるんじゃないかと覚悟する新次郎。
ところが。
「もう、バカね」
呆れた様に笑って、ラチェットが言った。
「あなたから誘われて、私が断ると思うの?」
「ラチェットさん…」
その言葉に感動した言わんばかりの新次郎の表情。
「”相談がしたいことがある”なんて、心配になるじゃない」
「すみません…」
「デートならあなたの恋人でいられるけど、相談だったらあなたの上司でいなければいけないのよ?」
「はい…」
「もう、それだけでも損した気分だわ」
「面目ないです…」
小さくなる新次郎。
「だから、大河君。ここから先はあなたの恋人で居させてね」
そう頬を染めたラチェットに見とれながら、新次郎は大きく頷いたのだった。
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