「…だと思うんだけど」
「…どうやって?」
1階客席で何やらこそこそと話すメルとシー。
そこに通りがかるは大神。
二人の仲睦まじい姿に自然と笑みが零れる。
「やぁ、メル君シー君。こんな所でどうしたんだい?」
「あっ、大神さん。ちょうど良いところに来てくれましたねぇ!」
何やら思案顔で大神を見るシー。
「何だい?」
「…実はその、大神さんにご相談したいことがあって…」
「俺で分かる事ならいいけど」
「ヒューヒュー。さっすが、大神さん。優しいですねぇ」
「ちょっと、シー」
大神をからかうかのようなシーを窘めるメル。
「はは。それで、何の相談なんだい?」
二人に向かい合うように座って大神が言った。
「花組さん、最近頑張ってるじゃないですかぁ。舞台もそうですけど、戦いも」
「ああ、そうだね。俺もそう思うよ。みんなよくやってる」
「それで、私たちなりに花組さんに感謝を伝えたいって思ったんです」
「メルと相談して、お茶会なんてどうって話になったんですよぅ。あたしがお菓子作って」
「それは、みんな喜ぶと思うよ。シー君のお菓子は美味しいし」
「本当ですかぁ」
「ああ」
「大神さんもいらして下さいね」
「ありがとう。喜んでご招待に預かるよ」
「…それで、ですね」
とても言いにくそうなメル。
「皆さんをご招待したいんですけどぉ。ロベリアさんをどう誘おうかなってメルと悩んでたんですよぅ」
ため息をつきながらシーが言った。
「ロベリアだって普通に誘えば来ると思うけど」
「でも、ロベリアさん。”みんなでお茶会”とかって来てくれなさそうなんですもん」
「苦手なものを押しつけてしまうのも違う気がしますし…」
苦笑しながらメルが言った。
「うーん。なるほどなぁ…」
メルとシーの言う通り、以前より皆で一緒にいる事に慣れてきているとはいえ基本的に団体行動を好まないロベリアなのだ。
「ロベリアさんを無理なく誘える人っていないですかねぇ」
シーがポツリと言う。
その言葉で大神の脳裏に一人の人物が浮かび上がる。
「…いる。いるよ、シー君!ロベリアを無理なく誘える人が」
「え?!本当ですか!?」
「ああ。エリカ君だよ」
大神の言葉に合点がいったように大きく頷く二人。
「確かにエリカさんなら!」
「ロベリアさん、何だかんだ言ってエリカさんを邪険に出来ませんもんねぇ」
「そういうことだね」
「ヒューヒュー!大神さん、冴えてるぅ!」
「大神さんにご相談して良かったです。ありがとうございました。助かりました」
「どういたしまして」
後日、メルシー主催のお茶会が出席率100%で大成功を博したことは言うまでもない。
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