「隊長、本当によろしいんですか?」
そわそわと落ち着かない様子でマリアが言った。
「大丈夫だよ、マリア。まだ時間はあるんだし」
隣で芝生に寝そべりながら大神が答える。
「そうですけど」
「ちょっと寄り道をした位で怒られやしないさ。それにこんなに良い天気なのに真っ直ぐ帰る方が勿体ないよ」
新緑も鮮やかな日比谷公園に初夏の爽やかな風が頬を撫でるように吹き抜ける。
空は気持ちの良い青空で。
大神の言葉通り、”とても良い天気”で、確かにこのまま帰るには後ろ髪を引かれる思いがするのだ。
「…そうですね。勿体ないですね」
頷くマリア。
「だろう?もう少しここでゆっくりしよう」
「はい。でも、隊長。そうしてるうちに眠ってしまわれるんじゃないですか?」
横になっている大神をからかうようにマリアが言った。
「いや、もう眠くなってきたよ。でも、そうしたらマリアが起こしてくれるんだろ?」
「さぁ。どうしましょう?」
「大丈夫。マリアは起こしてくれるよ」
「分からないですよ?」
「マリアは俺を置いて行ったりしないだろ?」
自信ありげにそう言い放つ大神に、マリアが小さくため息を一つ吐く。
「…もう、狡いですね。大神さんは」
「その自覚はあるかな」
ニッと笑う大神。
そんな大神に思わず吹き出すマリア。
二人の間に流れる温かい時間。
ある昼下がりの一幕。
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