「…新次郎、その指はどうしたんだ?」
「指、ですか?」
「ああ。右の人差し指から血が出てるぞ」
昴に言われて新次郎は自分の右手を見た。
言われた通り、確かに人差し指から血が出ている。
「あ。ホントだ。何か切ったみたいです」
「結構切ってそうだな。消毒しておいた方がいい」
眉をひそめながら昴が言う。
「大丈夫ですよ。これくらいなら舐めておけば治りますから」
『平気です』と放って置く姿勢の新次郎。
「………」
そんな新次郎を見つめた後、何を思ったのか新次郎の右手を手に取る昴。
「?昴さん?」
そして、新次郎の怪我している人差し指を自分の口元に持っていく。
新次郎の指の傷口を唇に当てそっと舐める昴。
唇を離して新次郎の手からそっと手を離すと、昴の突然の行動に呆然として二の句が継げない新次郎に不敵に笑って言った。
「昴は言った。これで本当に治ったら教えてくれ、と」
後日。
新次郎の怪我の治りが早かったとか何とか。