「…昴」
「…やぁ」
「元気そうで安心したわ」
「君が僕の心配をしてくれたのかい？」
「そうよ。おかしいかしら？」
「いや…。そういえば、君は昔からお節介だったね」
「そうね。一人で走り回ってたわ」
「僕らはそれを理解しようとしなかった」
「今のあなたは違うわね」
「どうしてそう思うんだい？」
「それはあなた自身が解ってる事じゃない？それとも、私の口から聞きたい？」
「…いや。止めておこう。…思い出したよ。君がそういう事に聡いんだって事をね」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
「ああ」
「でもね。本当に嬉しいのよ。私たちはバラバラになってしまったけど、今ようやく一つになれた気がして」
「昴は言った。君の粘り勝ちだと」
「…正直言うとね、あなたを変える事は出来ないんじゃないかと思っていたわ。あなたは昔から揺るぎない自分を持っていたし」
「僕は変わらない。昔も今も。九条昴としてそこに在るだけだ」
「えぇ。でもね、不変のものなんてないのよ。きっと」
「…………」
「あなたは大河くんたちをとても信頼している。それは私たちには築けなかったものだわ」
「昴は言った。僕は僕なりに君たちの事を信頼していたつもりだと」
「…ねぇ、昴？あなたは確かに私たちと肩を並べてくれたのかもしれない。でも、背中を預けてはくれなかったわ」
「…………」
「…だから、あなたが背中を預けても良いと思える人たちに出逢えたって事が凄く嬉しいの。あなただけじゃない、織姫もレニもラチェットもね」
「……やっぱり、君はお節介だな」
「性分なのね、きっと」
「いや、悪くないと思うよ。─それに、僕は君の星組も嫌いじゃなかったよ」
「ありがとう、昴」